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将来葬祭業がどのように変化していったとしても決してビジネスライクに接してはいけない。

城正憲
東海典礼株式会社 代表取締役専務
植木 廣次

葬儀業に携わって、私が一番感じていることは、葬儀代金の高低に関係なく、ご遺族と関わりを持った時から葬儀が終わるまで、ご遺族の気持ち(故人の生前の希望・要望を含め)を理解・優先し、心のこもった葬儀をして差しあげたいということです。

近年、時代の流れで葬儀もジミ婚と同じくジミ葬を希望される方々がたくさんいらっしゃいますが、見栄や体裁ばかりを気にした葬儀より、本当に故人様が偲ばれ、また個人様が喜んでいただけるような葬儀で最後の旅立ちを見送ることができるのであれば、それでよいのではないかと私自身思っております。

先日も生前予約の相談にお伺いした折、「自分らしい葬儀をしたい。また、残された家族にできるだけ負担をかけさせたくない」という方がいらっしゃいました。その方は現在ご自宅で、懸命に病気(ガン)と闘っておられる中、自分の葬儀の打ち合わせをしたいということでした。普通なら、看病しておられる家族の方から本人が亡くなりそうなので詳しい話を聞きたいというご依頼によりご相談にお伺いするわけで、見るからにやつれ、鼻から伸びる管に痛々しさを感じるご本人を前にして、どのように話を進めていけばいいのか一瞬戸惑いました。

しかしこちらのそんな気持ちがお分かりになったのか、ご本人自ら質問を始められ話が進んでいきました。「従来のような枠にとらわれた、暗く陰気臭いお葬式だけはしたくない」ということが一番の前提で「会葬礼状は自分で考えた手紙形式で」など、ノートを見ながらご希望を話してくださり、話の端々でおっしゃる「明るい葬儀にしたい」という言葉が印象に残りました。

私は今後ずっと、このご家族から電話がかかってくることのないように祈るとともに、万が一知らせがあった際には、必ずご希望通りの明るい、そして心のこもった葬儀をしてさしあげたいと強く心に誓い、帰路についたのでした。

今後、葬儀業もニーズの多様化とともにますます個性的な時代を迎え、今までの習慣や既成概念にとらわれることなく、相手の希望や意志を尊重した葬儀が求められると思います。葬儀業に携わる私たちも、それらに対応できる柔軟性、いろいろな角度からアドバイスできる知識、提案力など今以上に要求されるのではないかと考えます。しかし、こういった時代の流れの中で、将来葬祭業がどのように変化していったとしても、決してビジネスライクに接するのではなく、「心のこもった葬儀」を目指していきたいと思います。


専務のPROFILE

地元名古屋生まれの名古屋育ち、父保博の葬儀の仕事を見て育ち、葬祭業に誇りを夢を抱くようになる。学生時代より生徒会長などを務め、リーダー的立場から人の世話を好み、また喜びを知るようになる。そして社会へ、結婚式場高砂殿へ入社。その後葬儀の仕事をめざし、中京葬儀へ入社。本格的に葬儀の修行に入る。そんな頃、愛信葬儀より声がかかり、愛信葬儀へ入社。その後、父、伯父が新会社を設立することになり、新会社設立に参画するが考えの違いから父と共に新たに、父の40年にわたる加藤葬儀店を受け、法人設立を決意、東海典礼としての一歩を踏みだした。そして現在、「常に心のこもった葬儀を目指し」頑張りつづけている。