東海典礼株式会社
代表取締役社長
植木保博

こちらは今年で法人設立１０年目を迎えられたそうですが、何でも地元のテレビやラジオでCMを流されるほどの企業にまで成長されたとか。

　ええ、お陰様で。施主様は年々増える傾向にありますーとは言っても、亡くなる方が増えているのではなく、他者と比べ、割合的に私共のお取り扱いが増えているのです。

　つまり、他社の仕事がこちらに移行していると。やはり、CMの影響が大きいのでしょうか。

　いえ、確かに広告は打っていますが、宣伝効果はそれほど大きくはありませんよ。殆が口コミでしょうか。ある葬儀を終え、そちらに参列されていた方々から「こんな葬式は初めてだ」とお褒めの言葉を戴いたり、「名刺を貰えいか」と話しかけて下さることなど、しばしばありますからね。

　何か、特別な葬儀を行なっておられるのですか。

　他社でも、同じようなことを考えておられると思いますよ。ただ、それができない。ではなぜ私共ができるかというと、若く良いスタッフが集まってくれたからなのです。

　当社は２０代のスタッフが多く揃っております。こうした若者は頭を下げることが苦にならない。自分が誤っていると感じたら、素直に頭を下げられるのです。

　我々の年代だと、見栄だとか、体裁だとか、つい気にしてしまいますからね。

　そうでしょう。そして若者は「一生懸命」という言葉がよく似合います。例えば、参列者の履物を揃えようと考えたら、床に這いつくばってでもきっちり揃えます。さらに、若い人たちはー人によるかもしれませんがー研究熱心です。先程、葬儀の際の言葉遣いについて出ましたが、ああいった場では、どのような言葉が適切か、例えばテレビのアナウンサーはどう言うのか、ラジオではどう言うのか、日頃の生活の中から学んでいるのです。もちろん、社内でもマナー講習会や作法の講習など人材（財）の教育は絶えず、厳しく行っておりますが、そうしたことが身に付くかどうかは全て本人次第だと思うのです。

　つまり、こちらの若い人たちにはそれができる人が多いと。

　施主様の方も驚かれるようです。「こんな若い子が誠心誠意やってくれた」と。だからこそ、私共を評価して下さる。われわれ葬儀屋は人に好かれる業種ではありません。はっきり言えば「会いたくない」。